情報成果物作成委託(プログラム作成等を除く区分)では、①資本金5千万円超→資本金5千万円以下(個人を含む)、②資本金1千万円超5千万円以下→資本金1千万円以下(個人を含む)、③従業員100人超→従業員100人以下(個人を含む)のいずれかの組み合わせが対象です。資本金1千万円を超える会社が小規模な制作会社や個人に発注する場合も対象になり得るため、自社と依頼先の資本金・従業員数を確認してください。
01名称と施行日、主な改正点
改正法は2025年5月16日に成立、同月23日に公布され、2026年1月1日に施行されました。東京都産業労働局のリーフレットでは、主な改正点を次のように整理しています。
- 名称の変更:下請法 → 中小受託取引適正化法(取適法)。「下請」等の用語を見直し
- 禁止行為の追加:協議に応じない一方的な代金決定、手形払等
- 適用対象の拡大:資本金基準に加えて従業員基準(300人・100人)を追加
- 書面交付:受託側の承諾の有無にかかわらず電子メール等の電磁的方法が可能に
- 振込手数料を受託側に負担させ代金から差し引くことは違反に
02Web制作はどの区分に当たるか
取適法は、取引の内容と、資本金基準または従業員基準のいずれかを満たすかで適用が決まります。東京都のリーフレットに示された区分のうち、Web制作に関係するのは次の2つです。
| 取引区分 | 基準 |
|---|---|
| 情報成果物作成委託・役務提供委託(下記に係るものを除く) | 資本金5千万円超 → 5千万円以下(個人を含む)/資本金1千万円超5千万円以下 → 1千万円以下(個人を含む)/従業員100人超 → 100人以下(個人を含む) |
| プログラム作成・情報処理等に係る情報成果物作成委託・役務提供委託 | 資本金3億円超 → 3億円以下(個人を含む)/資本金1千万円超3億円以下 → 1千万円以下(個人を含む)/従業員300人超 → 300人以下(個人を含む) |
デザイン・原稿中心のサイト制作か、システム開発(プログラム作成)を含むかで区分が変わる可能性があります。自社の取引がどちらに当たるかは、公正取引委員会の資料や相談窓口で確認してください。
03委託事業者の4つの義務と11の禁止行為
4つの義務
- 発注内容等を明示する義務
- 取引に関する書類等を作成・保存する義務
- 支払期日を定める義務
- 遅延利息を支払う義務
11の禁止行為
- 受領拒否
- 代金の支払遅延(手形払等を含む)
- 代金の減額
- 返品
- 買いたたき
- 購入・利用強制
- 報復措置
- 有償支給原材料等の対価の早期決済
- 不当な経済上の利益の提供要請
- 不当な給付内容の変更・やり直し
- 協議に応じない一方的な代金決定
04中小企業の発注者が押さえておくこと
- 自社がホームページを発注する場合:資本金1千万円超の会社が、資本金1千万円以下の制作会社や個人に発注する場合は対象になり得る。従業員100人超の会社が従業員100人以下の相手に発注する場合も同様。資本金1千万円以下・従業員100人以下の会社が発注する場合は、原則として委託事業者に当たらない
- 相手が一人で活動するフリーランスの場合:取適法の適用がなくてもフリーランス法の義務がかかる
- 自社が制作を受けて再委託する場合:Web制作会社や広告代理店が外部のデザイナー等に再委託する立場では、委託事業者として義務を負う可能性がある
法律の適用がない取引でも、発注内容の明示、検収日と支払期日の取り決め、仕様変更時の費用協議は、トラブル防止の基本です。
05相談先・申込先の選び方
制作会社を選ぶ段階では、発注書・契約書のひな形を提示してくれるか、検収と支払のタイミングを明確にしているかを比較項目に入れます。取引が取適法の対象になるか判断できない場合は、公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口、都道府県の下請(受託)取引相談窓口、弁護士に確認してください。
確認リスト
- 自社と依頼先の資本金・従業員数を把握した
- 取引内容がデザイン中心かプログラム作成を含むかを整理した
- 発注内容を書面またはメールで明示した
- 支払期日を決め、振込手数料の負担を確認した
公式情報・参考資料
確認日:2026-10-11。本記事は公的資料の要点整理であり、法的助言ではありません。適用の有無は取引内容・資本金・従業員数で変わるため、公的窓口や弁護士に確認してください。