ホームページ制作はRFPと見積依頼書どちら?RFI・RFQとの違いと使い分け
公開・内容確認:2026年10月28日
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結論
ホームページ制作の発注で使う依頼文書は、「何を作るかが決まっているか」で選びます。
- 何を作るかが決まっていない:RFI(情報提供依頼書)で、制作会社の得意分野・進め方・おおよその費用帯を集める。
- 目的は決まっているが、作り方は提案してほしい:RFP(提案依頼書)で、構成・進め方・費用をまとめて提案してもらう。新規制作やリニューアルの多くはここに当たります。
- 作る内容が決まっている:RFQ(見積依頼書)で、同じ仕様の金額と納期を比べる。ページ追加や部分改修など。
迷ったら「RFPを短く書く」が無難です。見積依頼書だけで相見積もりを取ると、各社が違う前提で金額を出し、安い見積もりが実は範囲の狭い見積もりだった、ということが起こりやすいためです。
RFI・RFP・RFQの違い
3つは法律で決まった書式ではなく、発注の段階に応じた依頼の呼び方です。国の情報システムでも、デジタル庁の「デジタル社会推進標準ガイドライン」に要件定義書と調達仕様書の標準テンプレートが用意されており、要件を整理してから調達するという順序が前提になっています。「情報を集める→提案を求める→金額を比べる」という順序は、規模の小さいホームページ制作にもそのまま当てはまります。
| 文書 | 正式名(英語) | 相手に求めるもの | 使う時期 |
|---|---|---|---|
| RFI | Request for Information(情報提供依頼) | 会社概要、実績、対応範囲、進め方、費用の目安 | 候補を探す・絞る段階 |
| RFP | Request for Proposal(提案依頼) | 目的に対する解決策、構成、体制、日程、見積もり | 依頼先を選ぶ段階 |
| RFQ | Request for Quotation(見積依頼) | 決まった仕様に対する金額・納期・支払条件 | 仕様が固まった段階 |
どれを使うかの判断表
次の質問に順に答えると、使う文書が決まります。
| 質問 | 「いいえ」の場合 | 「はい」の場合 |
|---|---|---|
| 1. 依頼したい会社の候補が3社前後あるか | RFIや問い合わせで候補を集める | 2へ |
| 2. サイトの目的(問い合わせ・採用・販売など)を1〜3個に言えるか | 社内で目的を決めてから、RFPを書く | 3へ |
| 3. ページ数・機能・デザインの方向まで社内で決まっているか | RFPで提案を求める | RFQで金額と納期を比べる |
ケース別の例
| 状況 | 向く文書 | 理由 |
|---|---|---|
| 初めてホームページを作る。何ページ必要かも分からない | RFP(短め) | 構成から提案してもらう必要があるため |
| 既存サイトをリニューアルしたいが、どこまで直すか未定 | RFP | 直す範囲そのものが比較の対象になるため |
| 今のサイトに採用ページを3ページ追加したい | RFQ | 仕様が決まっており、金額と納期を比べればよいため |
| ECサイトや予約機能を入れたいが、どんな方法があるか分からない | RFI→RFP | 方式(専用サービスか独自開発か)で費用が大きく変わるため |
| 保守会社を切り替えたい | RFQ(作業範囲を明記) | 作業項目を固定して月額を比べるため |
見積依頼書だけで相見積もりを取ると起きること
「ホームページを作りたいので見積もりをください」という依頼だけで3社に頼むと、各社が独自の前提で見積もりを作ります。たとえば次のような差が生まれます。
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 制作費 | 120万円 | 98万円 |
| 保守費(月額) | 2.5万円 | 3.5万円 |
| 原稿作成 | 含む | 含まない(別途) |
| 3年間の合計(制作費+保守費×36か月) | 210万円 | 224万円 |
制作費だけ見るとB社が22万円安く見えますが、3年間で比べるとA社のほうが14万円少なく、しかもB社は原稿作成が別料金です。RFPで「範囲」「保守の内容」「比較する期間」を指定しておけば、こうした差は最初から同じ表で見えます。見積書の読み方はホームページ発注チェックリストと見積書の読み方、比べ方の手順は見積もりを比較する方法で解説しています。
それぞれに書く項目
RFI(情報提供依頼書)
- 自社の概要と、検討している内容(1〜2文で十分)
- 知りたいこと:制作実績(同業種・同規模)、対応できる範囲(撮影・原稿・保守など)、進め方、費用の目安の幅
- 回答期限と回答方法(メールで可、資料の転送で可など)
- 「現時点では発注を約束するものではない」旨
RFP(提案依頼書)
- 目的、想定する利用者、依頼範囲(依頼する・提案を求める・依頼しない)
- 必須・希望・将来対応に分けた要件
- 日程(質問締切・提出締切・公開希望日)、予算の上限、契約条件、評価方法
項目の詳しい考え方はWeb制作のRFP・依頼書の作り方、埋めた状態の例はRFP記入例にまとめています。
RFQ(見積依頼書)
- 作業内容の一覧(ページ名・ページ数・機能・素材の支給の有無)
- 納期、支払条件、修正回数
- 見積書に分けて書いてほしい項目(作業ごとの単価と数量、税込・税抜の区別)
- 見積もりの有効期限
どの文書でも、送る前に社内でそろえる情報
RFI・RFP・RFQのどれを送る場合でも、次の情報は社内で先にそろえておくと、回答の質が上がり、やり取りの回数も減ります。
| 情報 | 例 | そろえていないと起きること |
|---|---|---|
| 今のサイトの状況 | 公開年、ページ数、更新方法、困っていること | 現状を聞く質問が各社から届き、日程が延びる |
| ドメイン・サーバーの名義 | 誰の名義で、どこと契約しているか | 移行作業の有無が分からず、見積もりに幅が出る |
| 社内の担当者と決裁者 | 窓口1名、最終判断する人 | 確認が遅れ、制作会社の日程も崩れる |
| 予算の上限 | 制作費と月額保守費の上限 | 金額の桁が違う提案が並び、比較できない |
| 支給できる素材 | 原稿、写真、ロゴ、事例の資料 | 素材作成の費用が見積もりに入るかどうかが各社で分かれる |
名義の確認はドメイン・サーバーの名義は誰にする?で手順を解説しています。
依頼メールの文例
RFIを送るとき
件名:ホームページ制作に関する情報提供のお願い(株式会社〇〇)
本文:株式会社〇〇の△△と申します。当社では2027年春を目安にホームページのリニューアルを検討しています。現時点では依頼先を決めておらず、候補を検討する段階のため、次の情報をご提供いただけますでしょうか。(1)同業種・同規模の制作実績、(2)撮影・原稿作成・保守の対応可否、(3)20ページ前後のサイトの費用の目安の幅。11月13日(金)までにメールでご回答いただけますと幸いです。なお、本依頼は発注をお約束するものではありません。
RFPを送るとき
件名:ホームページリニューアルの提案依頼(株式会社〇〇)
本文:株式会社〇〇の△△です。ホームページのリニューアルについて、提案依頼書を添付いたします。本依頼は3社前後にお送りしており、ご質問は11月17日(火)まで受け付け、回答は全社に同じ内容でお送りします。提案書と見積書は12月4日(金)までにご提出ください。提案書の作成に費用が発生する場合は、事前にお知らせください。
RFQを送るとき
件名:採用ページ追加の見積依頼(株式会社〇〇)
本文:株式会社〇〇の△△です。既存サイトへの採用ページ追加について、見積もりをお願いいたします。作業内容は添付の一覧のとおりで、原稿と写真は当社から支給します。作業項目ごとの金額、修正回数、納期をご記載のうえ、11月20日(金)までにご提出ください。
※日付は例です。自社の日程に置き換えてください。
注意点
- RFIの回答で依頼先を決めない:RFIの費用は目安です。比べるのはRFPやRFQで条件をそろえてからにします。
- 提案の手間に配慮する:デザイン案まで求めるRFPは、制作会社の負担が大きくなります。提案費用の有無や、デザイン案を求めるかどうかを明記します。
- 発注時の書面:依頼先が決まったら、発注内容・金額・支払期日などを書面やメールで明示します。相手が個人のフリーランスならフリーランス法、相手の規模によっては取適法(2026年1月1日施行)の対象になる場合があります。適用の有無は公正取引委員会・中小企業庁の資料や専門家で確認してください(下請法から取適法へ|Web制作の発注で関係するケース)。
- 相談先の選び方:文書を作る前に相談先の種類(制作会社・フリーランス・定額制サービス)を絞りたい場合は、相談先・サービスの比較方針で比較項目を確認できます。
よくある質問
RFPとRFQは同時に送ってもよいですか?
同時に送るより、RFPの中で見積書の提出を求めるほうが一般的です。RFPに「見積書の書き方」(項目ごとの金額・数量)を指定すれば、RFQを別に作る必要はありません。
RFIを送った会社にだけRFPを送るべきですか?
必ずしもその必要はありません。RFIの回答を見て候補を絞り、3社前後にRFPを送るのが扱いやすい流れです。
見積依頼書(RFQ)だけで済むのはどんなときですか?
作業内容を一覧にでき、どの会社に頼んでも同じものができあがると言える場合です。ページ追加、文言修正、保守会社の切り替えなどが当てはまります。
RFPを書く時間がない場合はどうすればよいですか?
目的・範囲・予算・日程の4項目だけでもA4で1枚にまとめて送ってください。4項目がそろうだけでも、見積もりの前提のずれはかなり減ります。
出典
- デジタル庁「デジタル社会推進標準ガイドライン」 https://www.digital.go.jp/resources/standard_guidelines (確認日:2026年10月28日)
- 公正取引委員会「取適法」 https://www.jftc.go.jp/toriteki/index.html (確認日:2026年10月28日)
- e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/ (確認日:2026年10月28日)
※RFI・RFP・RFQは慣用的な呼び方で、書式や項目に決まりはありません。契約・法令の適用は公式資料や専門家で確認してください。